キビレ釣りのホームページ
キビレってどんな魚?
キビレは、クロダイに似ていますが、尾ビレの先端と尻ビレが 黄色みを 帯びていることから キチヌ などとも呼ばれています。浜名湖のキビレ釣りは、その釣り方が 特異な進化をしてきたためか(?) クロダイ釣りやスズキ釣りといった浜名湖を代表する釣りの一つになっています。 それではキビレの生態や習性 釣り方などもう少し詳しく見てみましょう。

目 |
スズキ目 Perciformes |
科 |
タイ科 Sparidae |
属 |
クロダイ属 Acanthopagrus |
和名 |
キチヌ |
キビレの生態
キビレは キチヌ・海津とも呼ばれ、分布は、琉球列島以外の南日本、オーストラリア、インド洋、紅海、アフリカ東海岸 東南キビレアなどで、沿岸の浅い海域、主に岩礁周辺や河口域、内湾の汽水域を好みます。
クロダイ同様に雌雄同体の両性魚で、性転換を行うことが知られています。しかしクロダイと比べると体色は銀色が強く、ウロコも若干大きいのが特徴です。尾ビレと尻ビレが黄色みを帯びていることも特徴で、キチヌなどの呼び名の由来にもなっています。

体高があり、クロダイよりも力もあります。気性も荒く、条件がそろうと平気で背びれが出るくらいの浅瀬まであがって来ます。食性は、甲殻類(エビ・カニ類)、多毛類(ゴカイなどの虫類)、軟体動物(タコ・イカなど)、海藻(海苔など)、小魚(イワシなど)など何でも食べる雑食性です。
釣りに関しては、静岡県・浜名湖を例に挙げると、昔から 「旧暦の2月1日前後には釣れる」と言われています。わゆるノッコミです。
実際には その1潮(15日)前、二潮(30日)前には 湖内に入り、外海との水温の変化に順応してから エサを喰うようになると考えられています。
この頃は まだ 湖内環境(水温)が整わず、キビレの生活エリアは狭くかたまっています。その後 4月~5月くらいになると、水温も上昇・安定し、ほぼ 湖内全域でキビレが見られるようになります。
梅雨時を境に、徐々に外海へ出る準備に入ります。いわゆる落ちです。お盆前後から10月くらいまで続きます。大型キビレは この「落ち」の時期チャンスです。また数も狙える時期でもあるので湖内はキビレ釣りファンで賑わいます。
キビレ釣りの道具と仕掛け
姿かたちはクロダイに似ています。 が 性格も引きの強さも違うので、 道具もそれなりに変わってきます。主に 夜間の釣行になります。ビギナーの方は経験者に同行することをお勧めします。ではキビレ釣りの道具と仕掛けを見てみましょう。
浜名湖のブッ込みキビレ釣り用のロッドは、船の大きさなどにもよりますが、長さ3m前後のオモリ負荷 5号~10号くらいのロッドになります。キビレ釣りには若干軟調子ですが、チヌ竿が使えます。
調子は、手竿で言うところの コイ竿 のような先は柔らかく 胴中 と 胴元は しっかりしたタイプが扱いやすいです。あまり軟調子の竿だと 取り込みで苦労します。
穂先だけ柔らかければよいので、胴は硬調子の竿が、お勧めです。また 持ち運びの観点から カーボンやグラス素材の振り出し竿がお勧です。
ロッドにこだわるのであれば、手作りすることもできます。


浜名湖ボートの係釣りではスピニングリールを使います。ダイワさんのリールでしたら、250~300番手 シマノさんのリールでしたら 3000~4000番手くらいが使い勝手が良いでしょう。
あまり小型のリールでは、キビレに遊ばれてしまいますので、強引に巻取りが出来ることを前提にリールを選ぶ事をお勧めします。
高性能高価格のリールは必要ありません。1万円以下のリールで十分です。
道糸は最低50m前後巻いてあればよいので、スプールに下巻するなどして調整してください。
ラインは、ナイロン3号前後を使います。PEラインでもよいのですが、時期・場所によって、アオサなどが流れるので、ラインを痛めてしまう場合があります。
PEラインなら 0.8号~1号くらいでも十分できます。 が ブッコミ釣りなので、常にラインが底を這っていることも ラインを痛める原因なのでその点もお忘れなく。

竿は船べりに立てかけますので、ロッドキーパー・竿受けは特に必要ではありません。小型の<竿受け>などがあれば、横風で竿が ずれたりあるいは アタリを待つ時の 竿の角度の調整が容易に出来ますので、便利ではあります。
ただ アタリが出たときに 「送る」 という動作がやりづらくなります。竿尻を固定してしまうのは、好ましくありません。 瞬時に竿尻が 動かせることが肝心です。
脇に出す 捨て竿ならば 固定することで、竿が 飛んで行ってしまう心配もなくなるので有効ですが、目の前の竿はロッドキーパー類は使わず、船べりに立てかける方が、良いと思われます。

キビレだけであれば、サイズからいくと 幅50cmくらいあれば 十分です。目安ですが 20L~30Lクラスのクーラーが使いやすいと思います。 生かしておくなら スカリをご用意ください。
キビレ釣りの ぶっ込み釣り 仕掛けは 大変シンプルです。針 ハリス サルカン スナップ付きサルカン ゴム管 オモリ で 簡単に作れます。特に キビレ釣りとしての仕掛けは 販売されていないので(おそらく)、 自身で作ってみてください。
作り方
①道糸に スナップ付きサルカン、ゴム管を通し、サルカンを結び付けます。
②道糸を結んだサルカンの反対側にハリスを結び、針を結びます。
③スナップにオモリを掛けます。
ブッ込み釣り 以外に ウキ釣り や ミャク釣り ルアー釣りもあります。
浜名湖の場合、キビレのブッ込み釣りに使うオモリは、主に なす型 六角型 などで 5号くらい~10号くらいです。流れの強い場所や 遠投を要する場合などは、重たいオモリ使い、湖内の流れの少ない場所なら 5号 で 十分事足ります。もっと軽くても良い場合もあります。



ナイフは魚を〆るなどに使いますが、家庭用の包丁のような薄刃ではなく、出刃包丁の様に刃の厚いしっかりしたものをお勧めします。
プライヤー・フックリリーサー・ラジペンなどは針をはずしたり、金具の変形を治したりに使います。 錆び難いステンレスのものが長持ちします。
ラインカッターやハサミは お祭りなどの時 糸を切ったり、毒魚の針を落としたり に使います。指穴の大きな 植木バサミ や キッチンバサミ が重宝します。 また 仕掛けの管理だけなら事務用のハサミでも十分使えます。いずれも 使用後はしっかり水洗いして、油分をつけて手入れしましょう。
キビレの釣り方
ここでは主に静岡県/浜名湖の船によるキビレ釣りを紹介します。夜間の釣りになりますが、時期によるキビレの動きや その日のキビレの回遊経路を読んでの釣行になります。
浜名湖キビレファン(=キビレハンター)にとっては、この<読み>が面白くて 毎晩のように海に出るのです。
また キビレ釣りでは<静寂を破り、一気に曲がった竿が 海面に飛んでいきそうになる>大変スリリングな一面もありますから、やり取りを楽しむにも絶好のターゲットと言えるかもしれません。

以下は 浜名湖の船における係釣り(アンカーリングしてのブッコミ釣り)を説明します。道具の前に ポイント選び と 船のかけ方 を簡単に説明します。
ポイントの目安は かけ上がりなど起伏のある場所 ・ 障害物の周り ・ 藻の生え際 ・ 潮目 などが ねらい目になります。 流れに対して、ポイントとなる場所の手前に 船を横付け に アンカーリングします。 (航路の中などは 横付けは禁止ですので 注意しましょう)
流れ や 場所の条件 によりますが、 竿は 3本 から 6本 くらい出します。(場合によっては 船の周り グルグル 360度 竿が出せる場合があります) 竿尻は 反対側の船べりまで 一杯にくっつけておく方が 一気にもっていかれたときに 竿が飛びにくくなります。
このときに 竿の角度が低すぎる場合 船べりに 何か カイモノなどして 高さ調節してください。
どの竿も 手が届く範囲に 置くほうが安心できますが、 捨て竿などは 尻手ロープをすれば 離れたところに置いても安心です。

尻手ロープの長さは、竿が海中に入らない程度で よいでしょう。
身の回りは 整理整頓をして スペースを 上手く使ってください。突然のファイトに 竿やを踏みつけ竿を折ってしまったり、道具を蹴飛ばしてしまったりしないように心がけてください。道具など散らかっていると 怪我のもとにもなりかねません。
エサの種類によって付け方は変わってきますが、エビ系統のエサは、尾にチョンガケしたり 尾から通し刺しします。
車エビの場合、口から頭に向かって、頭から針先が出るくらいまで針を入れます。
ジャムシ系は、チョンガケ・通し刺し・縫い刺しなどです。
貝類の剥き身なら縫い刺しです。
キビレは<死んでいるエサ>でも十分喰ってきます。死んだからといって その場で捨てないで、最後まで残しておいた方がよいです。エサ切れで、後ろ髪を惹かれるような思いをすることがないように・・・エサを捨てるのは帰るとき!
エサを付けたら、順番に投げ込んでいきます。 出来る限り 狙ったポイントに投げるよう心がけてください。カキ棚 や 杭棒 など 障害物の際は、逃げ込まれるとライン切れしますから ほどほどに距離を取る方が無難です。
投げたら 軽く糸ふけをとり 船ベリに立てかけてアタリを待ちます。場所や 使うエサ その日のキビレの活性度キビレの回遊方向に対する投げている方向 などの複数の条件から アタリの出方は変わってきます。
アタリ方にはいくつもパターンがあります。 標準的なものは、コツンとやってからスッーと竿がお辞儀します。間髪いれずに 2回目 3回目と続きますが 次第に動きが大きくなり、最後には ギューン と竿を曲げて行きます。
あるいは 何の前触れもなく いきなり竿が海面に突き刺さる なんてこともあります。その反対に ふわふわフワフワ いつまでも 続くといったこともあります。

キビレは早合わせをすると すっぽ抜けたり 外れたりする 確立が非常に高いです。 完璧に食い込んでから 大きく 合わせるようにしましょう。
時期や場所で 餌取がありますから、小アタリがある時は 適当にエサのチェックをしましょう。 また 時間とともに流れが変わり、潮目がずれていきます。潮目に投げている竿は 潮目の移動に伴い適当な間隔で打ち直しすることをお勧めます。
キビレの取り込みは、基本タモ入れしてください。 小型でしたら抜き上げても構いませんが、抜き上げの時竿を折ったりするトラブルが多いので気を付けてください。
頭を水面から出して 空気を吸わせ 頭から サッとすくいます。
釣れたキビレは すぐ外してイケスに入れてください。そしてすぐエサを付けて 出来る限り同じ位置へ打ち直します。何匹か 群れている場合がありますので、そんな時は すぐ次のアタリが出ます。
1尾 釣れたら 常に 「群れで来ている」 ことを想定して、手早く次の準備をすることをお勧めします。また 1尾釣れたときは、別の竿に来る可能性も あるので、釣れた竿の打ち直しをしている間も、他の竿には十分気を配っていてください。
元気が良いキビレは イケスで 船着場まで生かしておいて 船着場で〆ましょう。 釣れて間もなく 弱ってしまったり 死んでしまったは すぐに〆て クーラーへ入れるのが理想的です。

〆方は 上図のように 腹を向こう側にして 〆ると やりやすいです。 サラサラとした血 と ドロットした血を 十分に出してください。
キビレの食べ方
食べ方には <塩焼き>や<お刺身>などがあります。好みですが 春先の乗っ込み期よりも、お盆前後くらいの時期の方が 脂が乗って美味しくなる気がします。 クロダイの旬とは時期がずれているようです。
お盆の時期前後のキビレは 脂が乗ってお刺身で食べることができます。500g~1kg前後のキビレが食べやすいです。大きすぎると脂がありすぎたり食感が硬かったりと、お刺身には向かないことが多いです。薄く削ぎ切りでワサビしょうゆのほかポン酢などでいただいてもよいでしょう。
500g前後 (俗に言う2年魚)くらいは、尾頭付きの塩焼きにちょうど良い大きさです。お刺身同様 やはり お盆の時期のキビレのほうが味が良いです。脂の乗った中型のキビレ位が良いでしょう。